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福島公認会計士事務所
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アメリカ永住権・市民権保持者のタックスリターン
グリーンカード保持者のタックスリターン(確定申告)
アメリカ永住権(グリーンカード)又は市民権を所持している人は、たとえアメリカに居住していなくても、アメリカで所得がなくても、日本の所得を含む全世界所得をアメリカで申告する義務があります。
この場合、日本に帰国し日本で働いていても、アメリカの税務申告上はアメリカ居住者(Resident)となり、確定申告のFormは1040NRではなく1040で申告しますので、ご注意ください。
日本でも日本の所得を申告し、アメリカでも日本の所得を含む全世界所得を申告すると、日本の所得が両国で課税対象となるので、二重に課税されると勘違いし、アメリカでの申告を躊躇する方もいらっしゃいます。
このような同じ所得に対する二重課税を回避するために、アメリカ国外所得の非課税措置と外国税額控除があります。
(1)アメリカ国外所得の非課税措置
年間を通じて常にアメリカ国外(日本)に居住している場合(Bona Fide Resident Test)、又は連続する12か月間においてアメリカ国外(日本)に330日以上滞在している場合(Physical Presence Test)には、アメリカ国外(日本)で得た給与所得や事業所得等の勤労所得(Foreign Earned Income)につき$120,000(2023年度)を限度として総所得から除外(非課税)することが認められています。
例えば、現在日本で10,000,000円の給料を稼いでいる場合、上記の要件を満たせば、アメリカの税務申告はするけれども税金自体は発生しないことになります。
その際、Form 2555を作成して申告書に添付する必要があります。
(2) 外国税額控除
また、二重課税の問題を回避するために、アメリカ国外(日本)での税金をアメリカの税務申告上控除対象とする外国税額控除という制度があります。
その際、Form 1116を作成して申告書に添付する必要があります。
アメリカ国外所得の非課税措置と外国税額控除は、いずれか一方を適用することも、両者を併用することも可能です。併用する場合には、$120,000以下の所得については非課税措置を、それを超える所得に対して外国税額控除を適用することになります。
確定申告書が未提出の場合や詐欺的申告の場合は、日本のように時効にはかかりませんので、いつまで経っても全ての年度分の税金をIRSから請求されるおそれがあり、もちろん延滞利息やペナルティも課されます。
外国金融資産の報告義務(FATCAとFBAR)
日本に居住しているアメリカ市民やグリーンカード保持者を含む税法上のアメリカ居住者は、外国(日本)に保有する預金や株式等の金融資産を報告する義務があります。
具体的には、所得税の確定申告書と一緒にIRSに提出するForm 8938(FATCA)と、申告書とは別に財務省に提出するForm TD F 90-22.1(FBAR)の2つの報告様式があります。
なお、Form TD F 90-22.1は2013年度申告からFinCEN Form 114に名称変更され、オンラインによる報告が強制されました。
この2つの報告は多くの点で報告内容が重複していますが、次のような相違点があります。
まず、報告対象となる外国金融資産の合計額が両者で大きく異なります。
Form 8938においては、例えば日本居住のグリーンカード保持者で独身の方では、外国金融資産の合計額が年度末で$200,000又は年間のある時点で$300,000を超える場合、夫婦合算申告の方では、年度末で$400,000又は年間のある時点で$600,000を超える場合が報告対象となります。
一方、FinCEN Form 114は、外国金融資産の合計額が年間のある時点で$10,000を超える場合が報告対象となります。
したがって、Form 8938を報告する人は必ずFinCEN Form 114も報告する必要がありますが、逆の場合はそうとは言えません。
また、外国金融資産の合計額が年間を通して$10,000を超えなければ、いずれの報告もする必要はありません。
次に、報告期限が異なります。
Form 8938は所得税の確定申告書と一緒にIRSに提出しますので、その申告延長も含めた期限までに提出することになります。
一方、FinCEN Form 114は、毎年4月15日までにオンライン報告する義務があります。ただし、6ヶ月の延長が認められています。
なお、両者ともその報告を怠った場合には、最低でも$10,000のペナルティが課され、故意や悪意と判断されるとさらに大きなペナルティとなりますので、注意をする必要があります。